春は暖かくなり、活動的になる良い季節ですが、高齢者にとっては体調を崩しやすい時期でもあります。
この時期には「春バテ」と呼ばれる、だるさや疲労感、頭痛といった体調不良を感じやすくなることも。
今回は、高齢者の皆さんが春を健やかに過ごすために気を付けたいポイントをお伝えします。
春に高齢者が気をつけたいこと。春バテとは?
春は冬の寒さから解放され、心も体も開放的になる季節ですが、同時に体調を崩しやすい時期でもあります。
春バテ
春バテとは、
春バテとは、春の時期に多くの人が感じる、原因がはっきりしない体調不良の総称です。医学的な診断名ではありませんが、その症状に悩まされる方は少なくありません。
春バテの症状

春バテの症状としては、
- 全身の倦怠感や疲労感
- 頭痛やめまい
- 食欲不振
- 不眠
- 肩こり
- 気分が落ち込む、イライラするといった精神的な不調が挙げられます。
春バテの原因

春バテの主な原因は、
- 日中の寒暖差や気圧の大きな変化による自律神経の乱れです。
- 新生活など環境の変化によるストレス、花粉症などのアレルギー、そして生活リズムの乱れも春バテの症状を助長する要因となります。
春に高齢者が気をつけたい5つのポイント!
春バテを乗り切り、健やかに過ごすためには、高齢者の体の特徴を踏まえた対策が重要です。
高齢者が春に特に気をつけたい、5つのポイントをご紹介します。
①寒暖差と体調管理

春は日中の気温が上がっても朝晩は冷え込むことが多く、一日の寒暖差が大きくなります。
高齢者の体は、自律神経の働きが穏やかになり、体温調節機能も低下しているため、急激な温度変化に体がついていきにくい特徴があります。
これにより、寒暖差アレルギーのような症状や風邪につながることが少なくありません。
薄手の衣類を重ね着し、気温に合わせて調整しましょう。
室内でもエアコンや暖房を適切に利用し、快適な室温を保つよう心がけてください。
体の抵抗力を高めるため、バランスの取れた食事も重要です。
②脱水症状と水分補給

春は空気が乾燥しやすく、水分補給がおろそかになりがちです。
高齢者の体は、高齢者の体は、喉の渇きを感じにくくなることや、体内の水分量が減少していることから、気づかないうちに脱水症状のリスクが高まります。
喉が渇いていなくても、少量ずつこまめに水分を摂る習慣をつけましょう。
水やお茶だけでなく、経口補水液なども活用し、利尿作用のあるカフェイン飲料は控えめにしてください。
③アレルギー対策と清潔な環境

春は花粉や黄砂、PM2.5などが飛散し、アレルギー症状を引き起こしやすい季節です。
高齢者は、加齢とともに免疫機能が低下する傾向があります。
これは、免疫細胞を作る工場である胸腺や骨髄の働きが衰えたり、免疫細胞そのものの元気がなくなったりするためで、アレルギー症状が重く出たり、長引いたりすることがあります。
外出時はマスクやメガネを着用し、帰宅後は衣類をはたいて花粉などを室内に持ち込まないようにしましょう。
室内の換気は短時間にとどめ、空気清浄機を活用したり、こまめな掃除でアレルゲンを除去したりしてください。
症状がひどい場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
④転倒予防

春になり気候が良くなると、外出の機会が増え、活動量も自然と増えてきます。
しかし、高齢者の体は、加齢とともに筋力が低下し、バランス能力も衰えやすくなるため、冬の間に運動量が減っていたりすると、転倒のリスクが非常に高まります。
骨がもろくなっている場合も多いため、転倒は骨折などの重傷につながりやすいのです。
散歩や軽い体操など、無理のない範囲で体を動かす習慣をつけましょう。
慣れない場所や段差のある場所では、特に足元に注意して歩き、滑りにくい靴を選ぶことも大切です。
必要に応じて、手すりや杖などの補助具を活用し、安全を確保してください。
⑤心の健康と交流の機会

春は新しい環境への変化や、花粉症などの体調不良が重なり、気分が落ち込みやすくなることもあります。
また、冬の間は家にこもりがちだった方も、春は外に出る機会が増えるため、人との交流を意識することも大切です。
高齢期は、退職による社会との接点の減少、身体能力の低下による外出機会の減少、親しい友人や家族との死別など、様々な理由から社会とのつながりが減り、孤独を感じやすくなることがあります。
心の健康を保つためには、積極的に社会とつながることが重要です。
散歩に出て季節の移ろいを感じたり、趣味の活動を楽しんだりして、気分転換を心がけましょう。
友人や家族との会話を楽しんだり、地域のイベントに参加したりと、積極的に人との交流の機会を持ちましょう。
もし気分が晴れない日が続くようであれば、一人で抱え込まず、信頼できる人や専門機関に相談するようにしてください。
春は新しい始まりの季節です。高齢者の皆さんが、これらのポイントに気を付けて、心身ともに健やかに過ごせるよう、心から願っています。
介護されている方も、ご自身の健康にも気を配りながら、春の訪れを楽しんでくださいね。
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